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山田奈々子2009年の活動実績

5月27日 (社)現代舞踊協会主催 「5月の祭典」  
作品「ゲーム」
シアター1010

7月10日 東京新聞主催 「現代舞踊展」
作品「バスを待つ」
メルパルク東京

8月11日 山田奈々子モダンダンススタジオ舞踊発表会
北トピア

12月25日山田奈々子ダンスリサイタル
俳優座劇場
第1部 「帰幽」 
第2部 「あなたは誰」


09年5月の祭典 批評

今年の5月の祭典は水準の高い作品が多かった。若者達の表情に活気を感じる公演だった。 山田奈々子「ゲーム」は堀登とのデュエットを中心にドイツ表現主義に通じるアブストラクトな身体表現が展開をしていく。自らの原点をくっきりとみつめる大家の姿勢を感じとることができる秀作だ。ー中略ー 
不況の最中だが肉体は自由と希望を主張することができる。作品や舞台を重ねることで豊かな才能たちが新世紀へ巣立っていくことを祈っている。
吉田悠樹彦氏 音楽新聞掲載


09年5月の祭典 反響

山田奈々子「ゲーム」によせてー
恋はおしゃれなゲーム・・・
 何かの歌の中にそんな詞があった。
まじめそうな「男」とブロンド・ボブの「女」・・・
二人の間にならんでいる少女たちは
 愛の天使・キューピットだろうか・?
二人は手をつないでいた。
「男」は「女」に恋心を抱いていそうだ。
それともお互いに「好き」なのか?
「男」がついに告白した。
しかし・・・
 「女」は素直には応じない。
「女」は相手を
 もてあそんでいるように見えた。 
「男」は怒った。
  いや怒ってみせたのだ。
「女」はあわてた・・・
 失ってしまったらたいへんだ。
少女たちは二人をおもしろそうに見守る。
心のびみょうなすれちがい。
 恋のかけひき。
  それはいつの時代でも変わらない・・・
   男の心女心を
    軽妙に映し出していたー
パリの街の中にある空間なのだろう
セルジュ・ゲインズブールの曲が流れる
ハスキーな歌声はジェーン・バーキンか
夢見る「シャンソン人形」を歌った
 フランス・ギャルの歌い方を思わせた。
少女六人は
 ときどき人形に見えた
そう、これはひょっとしたら
人形館」の中に展開した
ラヴ・ストーリーだったのかも・・・。
「女」は山田奈々子「男」は堀登
少女たちは青田・石丸・清水・中島・藤井・川村
               舞踊評論家 寺村敏氏


09年<現代舞踊展>批評

ダンス空間の構成では、山田奈々子の「バスを待つ」が出色。この人の最近作には、  作家・演出家としての視点に、以前にはなかった並ではない鋭さと成長を感じる。いっそ今後はスタッフに専念して活動を続けていくのもひとつの方法かも。日下四郎様


09年<現代舞踊展>批評

バス停、そこにはたった10分間の浄土があり、地獄もある。ただ通り過ぎ、すれ違うだけではない、一期一会・束の間の出会い。バスに乗ると言うただ一つの目的を共有する見知らぬ人々。10分間に凝縮された、それぞれの人生。白昼夢のような出来事。
死んだのは男、それとも女。バスは何を乗せて出ていくのだろう。ダンサーの視線がからみ合った時、微かな表情の変化に踊りのテーマが感じ取れました。小澤純一様(写真家)


09年<現代舞踊展>批評

「バスを待つ」を心ゆくまで拝見いたしました。素晴らしい!凄い!の一言です。
肉体の美しさ、流れるような動きの美しさ。人体のもつ可能性の極限を介間みた思いにゆったりとひたって帰宅しました。美の追求を身体でされる舞踊のエネルギーは
居合わす者たちをとりこんでしまう強さがありました。横倉れい様(詩人)


09年<発表会>反響

「バスを待つ」 
時間とバスの取り合わせ、そして”現実と幻想”何か遠い星に連れていかれた感じでした。あっという間に終了しておりました。とても楽しい時をほんとうにありがとうございました。岡村邦子様


09 リサイタル評

今年のクリスマスは山田奈々子モダンダンスリサイタルだ。私は光栄なことにチラシに」評の一部を載せていただいた。山田の独特なパッション溢れるステージと舞台にはフアンが多くいうまでもなく私もその一人である。今回は2006年初演の「あなたは誰」と2008年初演の「帰幽」の2作品を上演した。現代舞踊の源流にも大きく連なる高田=山田のスタイルを堪能することができた。
吉田悠樹彦様


09 リサイタル評 Ⅱ

近年他界した俳優・歌手の、実弟山田真二をしのんだ作品が、一本目の「帰幽」。同じ主題は死別の直後にもあったが、今回は故人の写真をディスプレイし、ヒット曲を聞かせながら、さらに手際よく演出している。それにしても今なお愛してやまない弟への切々たる思いが、真っ直ぐに観る者の心に伝わり、その力でみせる作品。
続く後半の「あなたは誰」は、2年前の舞台を手直しした再演ものだが、私には今回が初見だった。近年社会現象になった感さえある老年の「記憶喪失」を、ダンス作品として視覚ベースで表現しようとした、ある意味では野心的ともいえる試みだ。それを表現主義風の手法と演出で構成した。パートナーの夫婦を、このところ息の合った堀登と組み、5台の円錐梯形のセット(大田創)をフロア上で動かしながら、脳内の意識を視覚化した群舞でみせる。踊りの型はある意味類型的だが、演出者としての山田奈々子の腕の冴えが、ここのところ一作ごとに向上しているのがわかる。それでいてお話の締めを、あえて冷酷に突き放すことをせず、二人が手をつないで去っていく後姿で終えたことは、甘いというより逆に主題を浮き立たせて好感を持った。後略 
日下四郎様


09 リサイタル評 Ⅲ

山田奈々子は今回のリサイタルで「帰幽」と「あなたは誰」という近作二つを再演した。超ベテランが加齢のために新作を避け旧作を並べたかとも思ったのだが、必然性のある組み合わせが見えてきた。第一部「帰幽」は山田の弟だった美男俳優・歌手の故山田真二の歌声「哀愁の街に霧が降る」が聞こえ、彼の数枚の写真をパネルにして垂れ下げた下で姉の奈々子が回想にふける情景に始まり、七人の女性がからんで優しい感情を造型し「マイ・ウエイ」で結んでいる。真二が生まれ笑い泣き怒り演じ歌い、一生懸命生きたと心情を込めた舞踊。もう一般には山田真二の記憶は薄らいでしまっている現在、彼を思い出すことで過去と現代を結びつけようとの多分に古風だがジーンと来る舞台が展開された。
第二部は「あなたは誰~せつなく暖かい銀色の薄暮」。これはかって愛し合った二人だろうか、それとも現実の夫婦だろうか、女性(山田奈々子)は男(堀登)と会っても過去がおぼろらしく、認知症ということか、プロローグ、細胞が壊れる、あの夏の日、薄れていく記憶、白い空間、すれちがうデュエット、何か変、エピローグ、という各部は二人の演技と十人の女性陣の出没によって流動的につながれていて、忘れて行くことを否定的に考えていない。「ここはどこ、私は誰」だけでなく正面から「あなたは誰」とうたって、時にはコミカルに見せながら平和に幕となり、その時々を大切に生きようと思わせてくれる。山田奈々子の筋肉もそれなりに堅くなって動きが少しにぶくなっているのもかえって説得力があった。実はこの作品の初演の時、この作品の真意が汲めなかった。しかし最近になり、いまや筆者も介護される側にまわりかけていて、ようやく真意が解りかけている。芸術は年をとってからより深く理解できる場合が多いといえよう。記憶と忘却を交錯させた二作を見て、いまさらに納得させられたのである。 
オンステージ藤井修治様


09年<リサイタル>反響

表情豊かで細やかで柔軟な動き殆んど出ずっぱりの体力、sexyな身のこなし驚き感動しました。 
指宿敬里様


09年<リサイタル>反響

なんておだやかな今をむかえられているのでしょう。見ている私までが落ちつきました。こわいものはあるけど こわがりません。必ず明日はあると・・・

尾崎信子様


09年<リサイタル>反響2

先生の生き生きとした表情、手の表情とても美しかった。「あなたは誰」の方は動くオブジェが分かりやすくて面白い。1部2部の両方とも構成がきっちりとしていて理解しやすい。群舞の方々の踊りの切れがいい。重いテーマでもそれほど重い印象をうけない。
(松本奈々子様がご友人の感想を寄せて下さいました)


09年<リサイタル>反響3

”とても良い公演でした”1部も心に残ります 2部は全員がとてもステキに踊られました。一年の締めくくりの公演に相応の公演にご一緒出来て嬉しかったです。
斉藤香様


09年<リサイタル>反響4

「帰幽」
前回までは真二さんを失った悲しみと心に空いた穴を埋めようもない空虚感を感じていました。今回は奈々子さんが、吹っ切れたように幸せに満たされていました。真二さんを思うことによって、奈々子さんの心の中に真二さんが生きていることを実感される舞台でした。今までの悲しみによる険しい、さみしそうな表情が遠くなりました。手の届くところから居なくなった事を認め、悲しみを乗り越えた事を客席にいる真二さんに見せるように本当に楽しそうに踊っていました。最後、真二さんの写真を背に客席を見つめる奈々子さんの眼には、いつものように舞台の成功を喜び優しく微笑む真二さんが映っていたのでしょうね。

「あなたは誰」
時々訪れる安らぎの中で徐々に心が壊れていく様が、安らぎの表情がより幸せそうで豊かになっただけに、落差がさらに大きくなり、よりハッキリと出ていました。自分自身あんなふうになりたく無い。でも近しい人がなった時自分はどうするだろう。この舞台がデジャブウとして甦るかもしれません。最後、幸せだった昔の思い出の中で生きる事で心が安らかに、幸せになっていくのですね。なんとも好い表情でした。あの本は日記、それともアルバム。きっとステキな思い出がつまっているのでしょう。安楽椅子に揺られながら、思い出の本を見て暮らす。それだけで充分豊かな老後の生活を夢見ます。いつものように真二さんが真ん中の前の方の席で見守っていた様です。胸がつまり目頭が熱くなって来ました。自分も過去を記録する事で思い出の中に浸かってしまわず、表に出て今の自分にやれることを見つけていこうと思いました。
写真小澤純一様


09年<リサイタル>反響5

創作・構成・演出のダイナミズムのすごさに毎回感嘆します。 
六城月子様


09年<リサイタル>反響6

六本木でいい思い出が出来ました。ありがとう。素敵でした。常高君の好きだったマイウエイの時胸が熱くなり、マイウエイを歌う時は色々な気持ちで歌うと話していたのを思い出しました。奈々子先生がステップのとき女性客が"凄い”とか”ステキ!”の声が聞こえ我々もキューンとしたことが何度かありました。長くダンスを観させて下さい。
稲葉克彦様


09年<リサイタル>反響7

弟様への熱き思いに涙して観させて頂きました。宗様・沢様(詩人)
久し振りに舞台を拝見し、いつまでも若々しくしなやかで、意欲的で感動致しました。
奥平トヨ様

先生の舞台にいつもパワーをもらっております。舞台を観るたびに刺激されて自分もまた踊りたいという気持ちになります。また新作楽しみにしております。
工藤規親様